誰しもがなくなると嬉しいと思える車検は「不要なコスト」の代表格だと思います。
いくら企業が「安心と安全」をアピールしても、お客様には「今まで安心して乗れていたのに」というギャップが生まれてしまいます。
お客様が必要としていることは「お金がかからず、トラブルなく乗りたい」という部分に帰結されると思います。
方法としては雲を掴むような手段しかなく、店舗側も常套句で説明しているかと思います。
こういった「お客様の不満」に正しくアプローチする為には「納得と理解」が必要不可欠です。
整備内容の説明は不要
数多の見積もりをして、説明してきましたがお客様が欲しい結論は「で?おいくらなの?」です。
こちらが必要と感じる金額とお客様の予算が噛み合わないと双方によくありません。
しかも時間は有限です。
時間短縮や見積もりに関しては 「受付から見積もり完了までのロードマップ」に詳しく書いていますので参考にしてみてください。
金額が合致する場合はとてもスムーズですが、余りにも差がある場合は時間が余計にかかってしまうのに、自社を選んでもらえないということもあります。
つい、熱が入ると不具合部品や消耗品の交換の提案に力が入ってしまいますが、予算オーバーならお客様の心を動かすことはできません。
整備内容の説明が不要とはつまり「予算に合わせたオンリーワンの提案ができれば受け入れてもらえる」ということです。
これは他社への流出を防ぐことにもつながります。
「私のことを理解してくれた」という気持ちにできれば予算オーバーの内容は時期がきた場合の来店に繋がります。
結果は正直なところ難しいですが、あなたのファンになってもらえれば整備不良に繋がることは少なくなります。
他社の見積もりでは真似できない「気持ちがこもった見積もり」は書面には現れません。
お客様にあなたの顔が浮かぶようになれば他社で見積もりされても戻ってくるかと思います。

頑張ってください!
いくつか経験した事例を交えて解決策を下記に紹介します。
2年後の車検に考えられることを話してみる
「なんとか予算内に合わせられた・・・」と切り詰めて承諾してくれたお客様はきっと2年後に怒られてしまいます。
「2年前にしっかり整備したのに、まだお金がかかるの!?」
我々からしたら常識的なことでもお客様にとっては不満の種です。
これはコミュニケーション不足からくるものだと感じています。
お客様は予算ギリギリ(またはオーバー)で車検をすると
(次回は安く車検を済ませよう)
という気持ちになってしまいます。
整備士目線で見ると次回も同じくらいの金額になるのは目に見えていますし、予算設定がギリギリなのは「不相応の車に乗られている」と解釈してしまいます。
私はこのようなケースの時は改めて、次回に必要な金額を確認してもらうことにしています。
とある老夫婦の車検が予算を大幅にオーバー。
仕事で使う為に手放せないとのこと
切り詰める為に車検を5年ローンで組もうとされた時に「2年に必要な金額」もお伝え。
結果的に車検は諦めて同グレードの中古車を買うに至りました。
上記の例で私は車検は今回だけじゃないことを伝え、車の使われ方や用途、ローンで逼迫してしまう状況も包み隠さず伝えました。
今でも忘れられない大変な経験(見積もりは3ページ分くらいありました)だったので時間も労力もかかりました。
この教訓を活かし、
不要な見積もりに取られる時間を最小限にお客様とのコミュニケーションの質を最大化しなければいけない
という結論になりました。
決済者に刺さる伝え方をする
必ずしもご来店された方が決済者ではないということがあります。
これを理解することが遅く、何度も失敗した経験があります。
伝えるべきは整備内容でも金額でもなく来店された方でもなかった事例です。
旦那さんに熱心にアプローチしても奥さんで否決される
とある旦那さんがご来店。車好きで熱心に整備に関して話が進み、見積もり内容にも満足されて帰られました。
数時間後、電話で「嫁の許可がおりなかったから内容を変更したい」と言われ電話越しに説明しながら作り直すことになりました。電話越しだと時間もかかり、話がスムーズだった分、十分な説明もできていませんでした。
ここから見えるのは見積もりの最初に決済者の確認が抜けていたことによるロスでした。
「ご予算などはお決まりですか?」と聞く。または車種や車内の荷物などからご家族の有無や生活水準まで推理することができます。
そこから「奥様に金額を確認するのではないか?」という疑惑が生まれたら、すぐに確認するようにしています。
その他の事例と経験など
他にも息子さんが来店されてご両親に確認するケース
決済者であるにも関わらず、ご家族に確認して決めるケース
決済者が突然変わるケースなど・・・防ぎきれないケースもありましたが、すべて最初のアプローチで防げた事例だったと思います。
そうやって思う理由は先輩方はクレームが少なかったり、スムーズに終わらせたりしていたからです。
実際に真横で聞くことができない為、見積もり内容や現車の状態を照らし合わせて推測するしかありませんでした。
もちろん、私は今も勉強中です。
乗り換え時の費用も念頭に入れる
乗り換えとは営業側が提案することだと思いますが、整備士の接客時にも大いに役立ちます。
ある程度の相場の金額を知っておくのはメリットが大きいです。
用途にあった車とメンテナンス費用を提案してみる
整備士が強い領域は車両価格ではなくコストに関わる部分です。
車両を購入時というのは仕方がないのですがランニングコストに関しては基礎的な部分しかお伝えされません。
新車に関しては整備士もわかりませんが、中古車はランニングコストを比較できている為、提案に役立つことが多いです。
実際に乗り換えか車検で悩んでいるお客様に
「まるで営業マンみたい!」などの嬉しいお声をいただくこともありました。
立場上は車検を獲得したいので、乗り換え時との比較をうまく説明できたので車検になりました。
今後のメンテナンスの流れが掴めると不安が軽減されれば整備士として感謝されることに繋がります。
家電や好きなものに例えると共感を得やすい
整備士なら誰しもが他のものに例えて整備説明をするかと思います。
自分の好きなものに例えるだけでは老若男女すべてにささるとは言い切れません。
自分が得意な年齢層やお客様の性格などもあるかと思います。
オールジャンルは無理でもショッピングモールなどでお買い物を家族でする度に
「整備説明に使える表現や商品はないだろうか」と常にアンテナを貼っています。
正直、金額だけの見積もり提案はツマラナイ
見積もりの話を進めると金額の話で固まってしまうことが多々あります。
整備の内容を理解してもらって、それに見合った対価で納得してもらえないというのは歯がゆいものがあります。
最初の頃は「安くできないか?」などに答えようとしていましたが、辞めました。
生々しい話、会社の利益を左右するのは「時間×金額」です。
時間は見積もりも作業も隙間時間の短縮。
金額は人件費、工賃、値引き。です。
この組み合わせで最良のプランを組み合わせて最大限会社に貢献できるならばサービスもありだと思っています。
頭を使って稼がなければ給与に反映されない環境だとなおさらです。
接客を通じて得られるカーライフプランを提案したい
整備士人生でお客様に最大限貢献できることはなにかと考えた時に
「最適なカーライフプランの提案」
だと思っています。
一人ひとりに合ったプランを考えて感謝された瞬間はとても達成感があり、仕事を頑張ろうと思えます。
要はおしゃべりモンスターなんでしゃべりたいんですw
まとめ
ここまでの話で一貫しているのは「技術的な話を極力除外する」です。
車検に通らない部品やトラブルになる故障は、あえて書かなくても日頃されているかと思います。
ここでは専門分野に特化した知識を広く一般の方に伝わり、共感してもらえる方向を模索してみました。
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